司法書士法人・土地家屋調査士法人我孫子総合事務所(横浜)測量・相続・遺言

Nintei-Shiho-Shoshi Lawyers are permitted to represent clients in various summary court proceedings such as civil trial, compromise and conciliation and so on.

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

民法の改正(その九百九)

部会資料73-A

(説明)
1 現状及び問題の所在
受寄者は、有償寄託と商人の無償寄託の場合には善管注意義務(民法第400条、商法第593条)を、その他の無償寄託の場合には自己の財産に対するのと同一の注意義務(民法第659条)を負っており、これらの義務に違反して、寄託物が損傷し、又は滅失した場合には、債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことになる。このような損害賠償責任について、商法には、倉庫営業に関する特則として、同法第625条、第626条等の短期の期間制限が設けられているが、民法上は、特に短期の期間制限は設けられていない。しかし、商法の短期の期間制限の趣旨の一つとして、寄託物の損傷又は滅失が受寄者の保管中に生じたものか否かが不明確になることを避けるという点が挙げられるが、この趣旨は倉庫寄託のみならず、寄託一般に妥当するとの指摘がある。また、賃貸借や使用貸借では、債権債務関係を早期に処理することが望ましいという理由から、賃借人等に対する損害賠償請求権の行使可能期間が1年に制限されている(民法第600条、第621条)が、寄託についても同様の理由が妥当すると考えられる。以上から、寄託物の損傷又は滅失に関する損害賠償請求権の行使期間を制限することが望ましいとの指摘がある。

スポンサーサイト

PageTop

民法の改正(その九百八)

要綱案
4 寄託物の一部滅失又は損傷の場合における寄託者の損害賠償請求権及び受寄者の費用償還請求権の短期期間制限

 寄託物の一部滅失又は損傷の場合における寄託者の損害賠償請求権及び受寄者の費用償還請求権の短期期間制限について、次のような規律を設けるものとする。
(1) 返還された寄託物の一部滅失又は損傷があった場合の損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
(2) (1)の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

PageTop

民法の改正(その九百七)

(概要)

 本文(1)及び(2)は,寄託物の損傷又は一部滅失の場合における寄託者の損害賠償請求権について,賃貸借における賃借人の用法違反による賃貸人の損害賠償請求権に関する期間制限(前記第38,14)と同内容の規律を設けるものである。この点について現在は規定が設けられていないが,短期の期間制限を設ける必要性がある点において賃借人の用法違反による損害賠償請求権と異なるところはないと考えられるからである。

PageTop

民法の改正(その九百六)

中間試案

7 寄託物の損傷又は一部滅失の場合における寄託者の損害賠償請求権の短期期間制限
 (1) 返還された寄託物に損傷又は一部滅失があった場合の損害の賠償は,寄託者が寄託物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないものとする。
 (2) 上記(1)の損害賠償請求権については,寄託者が寄託物の返還を受けた時から1年を経過するまでの間は,消滅時効は,完成しないものとする。

PageTop

民法の改正(その九百五)

 中間試案(2)については、規律化は見送られています。
部会の審議において、受寄者に抗弁を援用する義務を課すことについて異議が出されたようで、それが見送りにつながったようです。
しかし、パプリックコメントでは、寄託者が直接占有する場合と間接占有する場合とで結論
に差異が生じるのは妥当でないとの理由で、規律化することに賛成論が多くみられました。
筆者も同意見であり、今後の規律化を希望します。

PageTop

民法の改正(その九百四)

要綱案(2)イは、中間試案(4)についての概要のとおりの内容を持つ規律です。
寄託者と第三者との間の寄託物をめぐる紛争に受寄者が巻き込まれないようにするのが妥当であることは言を俟ちません。
したがって、受寄者が返還を拒んだことにより第三者に生じた損害については,第三者が寄託者に対して直接請求することによって解決すべきだとしているのです。
筆者も寄託契約の本来の趣旨から導き出される妥当な内容を持つ規律だと考えます。

PageTop

民法の改正(その九百三)

要綱案(2)アは、中間試案(3)についての概要と同趣旨です。
寄託物について第三者が権利主張する場合であっても,受寄者はその第三者に寄託物を引き渡すことなく寄託物を寄託者に対して返還しなければならないという原則が明文化されています。
もっとも、寄託者の指図があれば、それに従います。
第三者が強制執行をした場合については、寄託者に対する寄託物の返還債務が履行不能となり、受寄者に帰責事由がないことは明瞭ですから、要綱案ではその規定を設けられていません。
すでに、たたき台の段階で外されています(部会資料73A)。

PageTop

民法の改正(その九百二)

要綱案

3 寄託物についての第三者の権利主張(民法第660条関係)
(2) 寄託物についての第三者による権利主張
寄託物についての第三者による権利主張について、次のような規律を設けるものとする。
ア 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が(1)の通知をした場合又は(1)ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべきことを命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
イ 受寄者は、アの規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。

PageTop

民法の改正(その九百一)

民法(債権関係)部会資料73A

中間試案第43、4「寄託物についての第三者の権利主張(民法第660条関係)」
民法第660条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならないものとする。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでないものとする。
(2) 受寄者は、寄託物について権利を主張する第三者に対して、寄託者が主張することのできる権利を援用することができるものとする。
(3) 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対し寄託物を返還しなければならないものとする。ただし、受寄者が上記(1)の通知をし、又はその通知を要しない場合において、その第三者が受寄者に対して寄託物の引渡しを強制することができるときは、その第三者に寄託物を引き渡すことによって、寄託物を寄託者に返還することができないことについての責任を負わないものとする。
(4) 受寄者は、上記(3)により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託物について権利を主張する第三者に対し、寄託物の引渡しを拒絶したことによる責任を負わないものとする。
(注)上記(3)及び(4)については、規定を設けない(解釈に委ねる)という考え方がある。

PageTop

民法の改正(その九百)

 (概要)

本文(4)は,本文(3)により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には,受寄者はその第三者に対して引渡しを拒絶することができ,その拒絶によって第三者に対する責任を負わないとすることを提案している。本文(3)の場合に,権利を主張してきた第三者が真の権利者であったときは,受寄者は第三者に対して損害賠償責任を負い,これを寄託者に対して求償することによって処理することになり得るが,寄託者と第三者との間の寄託物をめぐる紛争に受寄者が巻き込まれないようにするのが妥当であるから,受寄者が返還を拒んだことにより第三者に生じた損害については,第三者が寄託者に対して直接請求することによって解決することを意図するものである。
 以上に対して,民法第660条の通知義務違反によって寄託者に対する寄託物の返還義務が常に免責されないことになるという結論の合理性を疑問視する立場から,本文(3)及び(4)の規定を設けない考え方があり,これを(注)で取り上げている。

PageTop

民法の改正(その八百九十九)

(概要) 

本文(3)は,寄託物について第三者が権利主張する場合であっても,受寄者はその第三者に寄託物を引き渡してはならず,寄託物を寄託者に対して返還しなければならないという原則とともに,寄託物について権利を主張する第三者の存在を民法第660条に従い通知した場合において,その第三者が確定判決を得たときや,それに基づく強制執行をするときのように,受寄者に対して寄託物の引渡しを強制することができるときに,その例外として,寄託者以外の第三者に寄託物を引き渡すことができ,これによって寄託者に対して返還義務の不履行の責任を負わない場合があることを定めるものである。従来,規律が不明確であるとされてきた点について,規律の明確化を図るものである。

PageTop

民法の改正(その八百九十八)

(概要)

 本文(2)は,第三者が受寄者に対して寄託物の引渡請求等の権利の主張をする場合において,その引渡しを拒絶し得る抗弁権(同時履行の抗弁権,留置権等)を寄託者が有するときは,受寄者において当該抗弁権を主張することを認めるものである。これを認めなければ,寄託者が直接占有する場合と寄託によって間接占有する場合とで結論が異なることになり,寄託者が不利益を被ることを理由とするものである。

PageTop

民法の改正(その八百九十七)

中間試案

4 寄託物についての第三者の権利主張(民法第660条関係)民法第660条の規律を次のように改めるものとする。
 (2) 受寄者は,寄託物について権利を主張する第三者に対して,寄託者が主張することのできる権利を援用することができるものとする。
 (3) 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても,受寄者は,寄託者の指図がない限り,寄託者に対し寄託物を返還しなければならないものとする。ただし,受寄者が上記(1)の通知をし,又はその通知を要しない場合において,その第三者が受寄者に対して寄託物の引渡しを強制することができるときは,その第三者に寄託物を引き渡すことによって,寄託物を寄託者に返還することができないことについての責任を負わないものとする。
 (4) 受寄者は,上記(3)により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には,寄託物について権利を主張する第三者に対し,寄託物の引渡しを拒絶したことによる責任を負わないものとする。
(注)上記(3)及び(4)については,規定を設けない(解釈に委ねる)という考え方がある 。

PageTop

民法の改正(その八百九十六)

要綱案は、中間試案から変わっていません。
寄託者が知っている場合にまで通知義務を負わせる必要が全く無いことは言を要しません。
また、賃借人の通知義務を定めた現行民法615条ただし書との整合性からも、その明文化は適当であると考えます。

PageTop

民法の改正(その八百九十五)

要綱案

3 寄託物についての第三者の権利主張(民法第660条関係)
(1) 受寄者の通知義務

 民法第660条の規律を次のように改めるものとする。
 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。

PageTop

民法の改正(その八百九十四)

参照条文

現行法

(受寄者の通知義務)
第660条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。

PageTop

民法の改正(その八百九十三)

(概要)

 本文(1)は,民法第660条の規定を維持した上で,第2文を付け加え,第三者による訴えの提起等の事実を寄託者が知っている場合には受寄者が通知義務を負わないという一般的な理解を明文化するものである。賃貸借に関する同法第615条と平仄を合わせるものである。

PageTop

民法の改正(その八百九十二)

中間試案

4 寄託物についての第三者の権利主張(民法第660条関係)
  民法第660条の規律を次のように改めるものとする。
 (1) 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し,又は差押え,仮差押え若しくは仮処分をしたときは,受寄者は,遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならないものとする。ただし,寄託者が既にこれを知っているときは,この限りでないものとする。

PageTop

民法の改正(その八百九十一)

中間試案から変りはありません。
しかし、筆者は再受寄者に直接請求権を認める必要はないと考えます。
前掲した反対意見にもありましたように、再受寄者の行為が寄託者に直接帰属するものではありません。
したがって、再受寄者はあくまで受寄者の履行補助者の位置に留まっているはずです。
寄託者との関係においては、受寄者が義務を負い権利を有しているのです。

PageTop

民法の改正(その八百九十)

要綱案

2 受寄者の自己執行義務等(民法第658条関係)
(2) 再受寄者の選任及び監督に関する受寄者の責任

 民法第658条第2項の規律を次のように改めるものとする。
 再受寄者は、寄託者に対し、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。

PageTop

民法の改正(その八百八十九)

参照条文 現行法
(寄託物の使用及び第三者による保管)
第658条
2 第百五条及び第百七条第二項の規定は、受寄者が第三者に寄託物を保管させることができる場合について準用する。
(復代理人を選任した代理人の責任)
第105条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。
(復代理人の権限等)
第107条 
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う 。

PageTop

民法の改正(その八百八十八)

中間試案

2 受寄者の自己執行義務(民法第658条関係)
 (2) 民法第658条第2項の規律を次のように改めるものとする。
   再受寄者は,寄託者に対し,その権限の範囲内において,受寄者と同一の権利を有し,義務を負うものとする。

PageTop

民法の改正(その八百八十七)

本来、寄託者は、受寄者を信頼して寄託契約を締結しているのであり、したがって、寄託者の承諾なく寄託事務の処理を受寄者以外の第三者が行うことができるケ-スついては、かなり限定的に解されるべきです。
本要綱案イは、その点の考慮がなされているため同意できます。

PageTop

民法の改正(その八百八十六)

要綱案

2 受寄者の自己執行義務等(民法第658条関係)
(1) 受寄者の自己執行義務

 民法第658条第1項の規律を次のように改めるものとする。
ア 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
イ 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。

中間試案から変更はありません。

PageTop

民法の改正(その八百八十五)

【反対】
東弁、日倉協、改めて見直す会、日弁連、大阪弁、一弁、横浜弁、東弁倒産法、二弁、個人2名

直接請求権を認めるべきでないという意見について
・ 一般論としては民法第107条の規律を維持するもので、妥当であるが、再受寄者の寄託者に対する報酬の直接請求権を認めることは、再受寄者の選任に関わらなかった寄託者にとっては不利益であるので、反対する。
・ 再受寄者に寄託者に対する直接請求権を付与することにより、受寄者が倒産した場合であっても、受寄者の一般債権者に優先して、再寄託契約にかかる報酬請求権の支払を受けることができるようにすること自体、根拠が明確でない。
・ 再寄託は代理権の授与を伴う復委任と異なり、再受寄者の行為が寄託者に帰属するものではないことから、これと同様の直接請求権を認める必然性はない。むしろ、寄託者との関係においては、受寄者が義務を負い権利を有するのであって、再受寄者はあくまで受寄者の履行補助者としての位置付けにとどまるとみるのが、この場合の当事者の通常の意思であると思われる。また、本論点については、①直接請求権を認めることにより受寄者の支払不能時における再受寄者の報酬請求権を保護する必要があるか、②寄託者が再受寄者から寄託物を取り戻すための手段として、直接請求権を認めることが必要かという2点が問題になると指摘されているが、いずれについても再受寄者の直接請求権を認めるべき理由となり得るほどの問題ではない。すなわち、まず、①については、寄託物が再受寄者の手元にある場合には、留置権等の主張により、受寄者の支払不能時における再受寄者の報酬請求権の保護を図り得る。他方、寄託物を既に返還済みの場合には、そのような保護を図れないが、他の契約類型と比較して、再寄託について再受寄者の寄託者に対する直接請求権を認めるまでの必要性は見出し難い。次に、②については、寄託者が所有権を有する場合は所有権に基づく返還請求権の行使、所有権がない等の場合は、債権者代位権等で対応し得る。しがって、寄託については、代理権の授与を伴う復委任のような規定も設ける必要はなく、民法第658条第2項の規律は削除すべきである。寄託者が再受寄者を指名した場合における受寄者の責任に関する意見について
・ 「本人」が「指名」した場合に受寄者の責任を軽減する民法第105条第2項の準用には合理性があり、この点を改める必要はないのではないかとの指摘があった。

PageTop

民法の改正(その八百八十四)

(2)について

【賛成】
沖縄弁法制委、平田総合、日大、日司連、法友会、愛知弁司法制度調査委、裁判所(比較的多数)、堂島、札幌弁、慶大、濱口他、個人1名
・ 再寄託の要件を緩和する場合には、受寄者の責任を厳格化すべきであり、また、再受寄者は履行補助者に当たると考えられるため、再受寄者の行為について受寄者の責任を認めるべきである。
・ 再寄託について、復委任と整合的な規律とすることが相当である。

PageTop

民法の改正(その八百八十三)

【修正を提案する意見】
東弁
・ 民法第658条第1項が再寄託につき寄託者の承諾を要するとしている規律を改め、「やむを得ない事由」がある場合には寄託者が再受寄者を定めることができるとするものであるが、それのみならず、復委任の場合と同様に、「寄託者の利益のため
に正当と認められる事由」があるときも、再受寄者を選任することができるとするのが、寄託の趣旨に適合しつつ再寄託の成立について柔軟に対応することができるので、妥当である。
【(注)に賛成する意見】
早大、虎門、親和会、日弁連、個人1名
・ 民法の寄託者の承諾を得た場合に加えて、本提案の「やむを得ない事由」がある場合にも再寄託を認めるのは硬直的であり、委任の規律と整合させて、「契約の趣旨に照らして相当であると認められるとき」には再受寄者の選任を許容することには合理性があるといえる。
・ (注)に賛成する。ただし、最終的には第41、1(1)及び信託法第28条との関係を踏まえて判断すべきである。それ以外の(1)及び(2)の提案には賛成する。
自己執行義務が解除される場合に履行補助者に関する一般原則と異なる扱いをする必要は特にないから、そうした立場の(2)は妥当であると考える。問題は、いかなる場合に自己執行義務の解除を認めるかである。この点について、中間試案は、部会資料47によると、分業の合理性が高い委任と異なり、分業の合理性が低い寄託では、「やむを得ない事由ある」場合以外に寄託者の承諾なしに第三者による保管を認める必要がないと考えられるからであると示唆されている。しかし、仮に寄託が分業の合理性の低い契約であると一般的に言うのであれば、そのような分業による再寄託は契約の趣旨に照らして合理的でないと判断されることが多いはずで、「契約の趣旨に照らして相当であると認められる場合」に寄託者の承諾なしに再寄託できるとする対案でも、結局のところ、寄託者の承諾が必要となり、実際上、本案と変わるところはない。そうであれば、委任と寄託の規律を両者ともに本項目の対案で統一し、分業の合理性を「契約の趣旨」の判断において事案ごとにあてはめれば足り、部会資料47が示唆するような、分業の合理性を基準に再寄託と復委任の規律を類型的に別立てにするまでもない。寄託と同じく他人の事務処理の個別場面の一つである信託法第28条は(注)の立場を採用しており、委任、寄託及び信託を全て(注)の立場で一つに揃えることが望ましい。いずれにしても、(1)は、委任や信託の規律との関係を踏まえて判断すべき問題である。
【(注)に反対する意見】
日倉協
・ 「再受寄者を選任することが契約の趣旨に照らして相当であると認められるとき」と規定した場合、保管能力を持たない事業者が寄託を受け、他の事業者に丸投げするような安易な再寄託を助長するおそれがあり、「やむを得ない事由があるとき」という要件をあえて拡張する必要はない。

PageTop

民法の改正(その八百八十二)

寄せられた意見の概要。部会資料71-6
(1)について
【賛成】
沖縄弁法制委、貿易会、平田総合、日大、日司連、法友会、愛知弁司法制度調査委、大阪弁、裁判所(比較的多数)、一弁、横浜弁、東弁倒産法、堂島、札幌弁、二弁、濱口他、個人1名
・ 再寄託について、対人的信頼関係を基礎とする復委任と整合的な規律とすることが相当である。
・ 災害時等のように寄託者の承諾を得ることができなくとも、再受寄者を選任する必要があることも想定され得るので、妥当と考える。
・ 寄託者は、受寄者を信頼して寄託契約を締結しているため、寄託者の承諾なく寄託事務の処理を受寄者以外の第三者が行うことができる場面は限定的に解されるべきなのが原則であり、また、実務上の要請を踏まえた(1)イの案に賛成する。
(注)に反対する理由について
・ (注)の規定は承諾なく再寄託できる要件が明らかに不明確であるため、受寄者の独自の判断により寄託者の与り知らないところで無制限に再寄託、再々寄託を許容することにつながりかねず、寄託実務に無用の混乱を招くおそれが強い。

PageTop

民法の改正(その八百八十一)

参照条文

(寄託物の使用及び第三者による保管)

第658条1.受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない。

2.第百五条及び第百七条第二項の規定は、受寄者が第三者に寄託物を保管させることができる場合について準用する。

PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。