司法書士法人・土地家屋調査士法人我孫子総合事務所(横浜)測量・相続・遺言

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民法の改正(その六百九十八)

そして、次の「概要」が付されています。

(概要)
減収による賃料の減額請求について定める民法第609条,減収による解除について定める同法第610条の各規定を削除するものである。これらの規定は戦後の農地改革以前の小作関係を想定したものであるが,現在は農地法第20条(借賃等の増額又は減額の請求権)があるため,上記各規定は実質的にはその機能を失っているとの指摘がある。また,上記各規定は,不可抗力によって賃料より少ない収益を得たことのみを要件として賃料の減額請求や解除を認めているが,農地法第20条や借地借家法第11条のように賃料の額が経済事情の変動により不相当となったことや近傍類似の土地の賃料に比較して不相当となったこと等を考慮することなく,収益が少なかったことのみをもって賃料の減額請求や解除を認めるのは相当でないとの指摘もある。本文はこれらの指摘を踏まえたものである。

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民法の改正(その六百九十七)

ところで、中間試案ではこの部分は、次のように提案されていました。

減収による賃料の減額請求等(民法第609条・第610条関係)
民法第609条及び第610条を削除するものとする。

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民法の改正(その六百九十六)

参照条文

民法
(減収による賃料の減額請求)
第609条
収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借については、この限りでない。

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民法の改正(その六百九十五)

本文(2)について要綱案では、中間試案の内容を文章的に簡明化したものであり、解りやすい民法という面からも賛意を表したいと思います。
次に609条関係に移ります。


要綱案
減収による賃料の減額請求(民法第609条関係)
民法第609条を次のように改めるものとする。
耕作又は牧畜を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。

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民法の改正(その六百九十四)

本文(2)に対する日弁連の意見は次のとおりです。

【意見】
賛成する。

【理由】
賃借人が自ら修繕する権限を有することを明確化すると共に,双方の利害の調整を図る規律といえる。

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郵便開封や火葬手続き…成年後見人、権限拡大へ(YOMIURI ONLI)

自民、公明両党は、認知症や精神障害などで判断能力が不十分な人に代わって財産の管理、契約行為などを行うための成年後見制度の改善を柱とした議員立法をまとめた。

現在は法的に認められていない郵便物の開封や死後の火葬手続きなどを、後見人が代行することを認める内容だ。野党にも賛同を呼びかけ、与野党の超党派で今国会への提出を目指す。


 議員立法は、制度の利用促進に関する法案(新法)と、民法などの改正案の2種類に大別される。

 民法などの改正で、郵便物の開封や死後の火葬などの手続きが可能になる。現在は、後見人がやむを得ず開封や火葬手続きなどを行っているケースが多い。

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民法の改正(その六百九十三)

そこで中間試案において、前記のように「賃借物が修繕を要する場合において,賃借人がその旨を賃貸人に通知し,又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは,賃借人は,自ら賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとする。ただし,急迫の事情があるときは,賃借人は,直ちに賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとする。」と提案されたのは、歓迎すべきものと思料されます。

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民法の改正(その六百九十二)

学説上も賃借人の修繕権限を認めるのが通説です。
もっとも、賃貸借の目的物の修繕は物理的な変更を伴いますから、賃貸人が行うことが原則であることはいうまでもありません。

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民法の改正(その六百九十一)

現行民法には、賃借人の修繕権限についての明文規定はありません。
僅かに、608条1項に「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる」とあり。賃借人が賃貸借の目的物を修繕する権限があることを認めているとも読み取れます。

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民法の改正(その六百九十)

本文(2)については、中間試案は次のように提案しています。

(2) 賃借物が修繕を要する場合において,賃借人がその旨を賃貸人に通知し,又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは,賃借人は,自ら賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとする。ただし,急迫の事情があるときは,賃借人は,直ちに賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができるものとする。
(注)上記(2)については,「賃貸人が上記(1)の修繕義務を履行しないときは,賃借人は,賃借物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる」とのみ定めるという考え方がある。

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民法の改正(その六百八十九)

もっとも現行の606条第1項は、賃借人の責めに帰すべき事由があった場合に、賃貸人の修繕義務がどうなるか規定していません。
公平の観点からは、そのような場合には賃貸人に修繕義務を負わせるべきです。
判例にも、賃借人の故意による毀損等賃借人の責めに帰すべき事由があった場合は、賃貸人に修繕義務はないとするものが多くみられます。
要綱案に、「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。」旨の但し書きが加えられたことに、筆者は賛意を表します。

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民法の改正(その六百八十八)

中間試案の(概要)は、「本文(1)は,民法第606条第1項の規定を維持するものである。」としています。
この部分は、要綱案にもそのまま引き継がれています。
なお、中間試案本文(1)についての日弁理の意見は、次のとおりです。
【意見】
賛成する。
【理由】
現行法第606 条第1 項を維持するものであり,特段異論はない。

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民法の改正(その六百八十七)

ところで、中間試案においては、次のように記述されています。

8 賃貸物の修繕等(民法第606条第1項関係)
民法第606条第1項の規律を次のように改めるものとする。
(1) 賃貸人は,賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うものとする。

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民法の改正(その六百八十六)

参照条文

(賃貸物の修繕等)
第606条
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

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民法の改正(その六百八十五)

要綱案

8 賃貸物の修繕等(民法第606条第1項関係)
民法第606条第1項の規律を次のように改めるものとする。
(1) 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
(2) 賃貸物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
ア 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
イ 急迫の事情があるとき。

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民法の改正(その六百八十四)

そして、賃貸人からの敷金による相殺は、自ら不利益を選択したのであり、それは賃貸人の自由ですから、この件についても判例の立場は支持できます。
本文(2)は、この判例の判旨を明文化したものであり、妥当なものであると考えられます。
筆者も同意いたします。

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民法の改正(その六百八十三)

つまり、敷金は、賃貸借契中に発生するすべての債務を担保するためのものですから、賃貸借契約継続中に延滞家賃と敷金との相殺を認めてしまうと、それ以降、発生するかもしれない債務を担保することができなくなります。それでは、賃貸人が賃借人から敷金を預かった意味がなくなってしまいます。
判例の立場は、妥当だと考えられます。

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民法の改正(その六百八十二)

賃貸人の立場からすれば、敷金は賃貸借契約中に発生するすべての債務を担保させようとする機能を持っています。
ところで、判例によれば、敷金をもって債務の弁済に充当するか否かは、賃貸人の自由であり、賃借人のほうから滞納している家賃と敷金との相殺を主張することはできないと解されています(大判昭和5年3月10日判決)。

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民法の改正(その六百八十一)

<本文(2)前段については、要綱案がいう敷金の定義、すなわち「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」から当然導き出される敷金の担保的効力の効果であり、全く異存を唱える余地はありません。

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民法の改正(その六百八十)

次は敷金本文(2)について触れます。

敷金
(2)賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。
この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

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民法の改正(その六百七十九)

したがって、筆者は要綱案敷金本文(1)について賛同します。
敷金の定義はこれで意を尽くしており、また敷金返還時期についても判例の明文化としての意味があります。


要綱案
(1) 賃貸人は、敷金(いかなる名義をもってするかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この7において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
ア 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
イ 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

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民法の改正(その六百七十八)

筆者も判例・通説の立場に賛同します。
新賃借人と賃貸人との交渉の場は設けられているわけですから、その場を借りて新たな敷金契約を結ぶことは容易であり、かつ合理的だと思えます。
それが、現行の実務上の慣行に反するとしても、よき方向に改めることが肝要だと思料されます。

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民法の改正(その六百七十七)

 当然承継否定説は、判例・通説の認めるところです。
すなわち、賃借人の交替の場合は、賃貸人の交替の場合と異なって、交替に際し賃貸人の承諾が必要であり、賃貸人はその譲渡に承諾を与えるにあたって新賃借人との間で敷金の取決めをすることができるから、賃貸人保護という要請から当然承継を認める必要はないという立場をとっています。

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民法の改正(その六百七十六)

学説には、当然承継肯定説といわれるものがあります。
しかし、これは少数説です。
この説によると、賃貸人の賃借権譲渡に対する承諾の意思に、敷金の担保的効力が譲受後の賃借人債務に及ぶという期待意思が推測される、とされています。
この説の弱点はあまりにも技巧的だということです。

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民法の改正(その六百七十五)

ところで、賃借人の地位の移転と敷金関係については、学説上の争いがあります。
適法に建物の賃借権を譲渡した旧賃借人は、賃貸人対して敷金返還を請求できるのか。それとも敷金関係は当然に新賃借人に承継され、その者の賃料債務をも担保することになるのか。
つまり、賃貸借契約継続中に賃借権が適法に譲渡された場合には、敷金関係も新賃借人に承継されるのかが問題とされるわけです。

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民法の改正(その六百七十四)

ところで、中間試案本文(2)に対する日弁連の意見は次のとおりです。

【意見】
(2) 敷金が交付されている場合において,賃貸借が終了し,かつ,賃貸人が賃貸物の返還を受けたとき,又は賃借人が適法に賃借権を譲渡したときは,賃貸人は,賃借人に対し,敷金の返還をしなければならないものとする。この賃貸借が終了した場合の取扱いに賛成し,賃借権の譲渡があった場合の取扱いに反対する。
【理由】
賃貸借が終了した場合の取扱いについては,判例法理の明文化であると共に,実務上も確立した考え方であり,賃貸借を巡る法律関係の明確化に資する。他方で,賃借権の譲渡があった場合の取扱いについては,確かに判例はあるものの,実務で確立した考え方かについては疑問がないではなく,明文の規定を置く程度に規律として成熟していないと解される。

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民法の改正(その六百七十三)

参照判例

事件番号
 昭和52(オ)844

事件名
 取立債権

裁判年月日
 昭和53年12月22日

法廷名
最高裁判所第二小法廷

裁判種別
 判決

結果
 棄却

判例集等巻・号・頁
 民集 第32巻9号1768頁


原審裁判所名
大阪高等裁判所

原審事件番号
昭和51(ネ)1252


原審裁判年月日
昭和52年3月31日

判示事項
 土地賃借権の移転と敷金に関する敷金交付者の権利義務関係の承継の有無

裁判要旨
 土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場・合であつても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。

参照法条
民法612条,民法619条2項

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民法の改正(その六百七十二)

参照判例

事件番号
 昭和46(オ)357

事件名
敷金返還請求

裁判年月日
 昭和48年2月2日

法廷名
最高裁判所第二小法廷

裁判種別
 判決

結果
 棄却

判例集等巻・号・頁
民集 第27巻1号80頁

原審裁判所名
 広島高等裁判所  松江支部

原審事件番号
 昭和41(ネ)80

原審裁判年月日
昭和46年2月5日

判示事項

一、敷金の被担保債権の範囲および敷金返還請求権の発生時期
二、家屋の賃貸借終了後におけるその所有権の移転と敷金の承継の成否
三、賃貸借終了後家屋明渡前における敷金返還請求権と転付命令

裁判要旨
 一、家屋賃貸借における敷金は、賃貸借終了後家屋明渡義務履行までに生ずる賃料相当額の損害金債権その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得する一切の債権を担保するものであり、敷金返還請求権は、賃貸借終了後家屋明渡完了の時においてそれまでに生じた右被担保債権を控除しなお残額がある場合に、その残額につき具体的に発生するものと解すべきである。
二、家屋の賃貸借終了後明渡前にその所有権が他に移転された場合には、敷金に関する権利義務の関係は、旧所有者と新所有者との合意のみによつては、新所有者に承継されない。
三、家屋の賃貸借終了後であつても、その明渡前においては、敷金返還請求権を転付命令の対象とすることはできない。

参照法条
民法619条,民訴法601条

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民法の改正(その六百七十一)

部会資料57は、本文(2)について次のように述べています。

本文(2)は,敷金返還債務が生ずる時期を明確にするものである。判例(最判昭和48年2月2日民集27巻1号80頁)は,賃貸借が終了し,かつ,目的物が返還された時に敷金返還債務が生ずるとしている。また,賃借人が適法に賃借権を譲渡したときも,賃貸人と旧賃借人との間に別段の合意がない限り,その時点で敷金返還債務が生ずると考えられる(最判昭和53年12月22日民集32巻9号1768頁参照)。
そこで,本文(2)では,これらの理解を明文化することとしている。

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民法の改正(その六百七十)

このように解すると、要綱案の敷金の定義の中に、建設協力金が紛れ込む恐れはないように思えます。
日弁連の言う有力説は理解しかねます。
筆者は要綱案の定義に賛意を表します。

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