司法書士法人・土地家屋調査士法人我孫子総合事務所(横浜)測量・相続・遺言

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民法の改正(その四百二十五)

少し元に戻りますが、債権には「請求力」があることは、自明の理として一般に承認されています。
ところが、奇妙なことには、この債権の効力についての大前提が、現行民法では明文化されていません。
そこで、要綱仮案の原案では、「債権者は、債務者に対し、その債務の履行を請求することができる」という旨の明文化が提案されているのです。
これは解りやすい民法への改正という趣旨からみてもごく当然なことで、筆者も大いに賛意を呈します。

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民法の改正(その四百二十四)

また、要綱仮案の原案(その1)・部会資料79-1においては、次の記述があります。

第7 履行請求権等

1 履行請求権と履行の不能
履行請求権と履行の不能について、次のような規律を設けるものとする。
債権者は、債務者に対し、その債務の履行を請求することができる。
ただし、債務の履行が契約その他の当該債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、この限りでない。

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民法の改正(その四百二十三)

なお、概要と称して、次とおりの説明がなされています。

(概要)

契約による債権につき,履行請求権がいかなる事由がある場合に行使できなくなるか(履行請求権の限界)について,明文規定を設けるものである。従来はこれを「履行不能」と称することが一般的であったが,これには過分の費用を要する場合を始め,物理的な不能以外のものが広く含まれると解されており(社会通念上の不能),日常的な「不能」の語義からは著しく乖離していた。そこで,履行不能に代えて,当面,「履行請求権の限界」という表現を用いることとするが,引き続き適切な表現を検討する必要がある。
現行民法には,履行請求権の限界について正面から定めた規定はないが,民法第415条後段の「履行をすることができなくなったとき」という要件等を手がかりとして,金銭債権を除き,一定の場合に履行請求権を行使することができなくなることは,異論なく承認されている。そこで,本文では,履行請求権が一定の事由がある場合に行使することができなくなることと,その事由の有無が契約の趣旨(その意義につき,前記第6,1の概要参照)に照らして評価判断されることを定めるものとしている(本文ウ)。また,履行請求の限界事由に該当するものの例として,履行が物理的に不可能な場合(本文ア)及び履行に要する費用が履行により債権者が得る利益と比べて著しく過大なものである場合(本文イ)を示すこととしている。

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民法の改正(その四百二十二)

履行請求権の限界事由については、部会資料58(中間試案たたき台)37頁に、次のように示されています。

2 契約による債権の履行請求権の限界事由

契約による債権(金銭債権を除く。)につき次に掲げる事由(以下「履行請求権の限界事由」という。)があるときは,債権者は,債務者に対してその履行を請求することができないものとする。
ア 履行が物理的に不可能であること
イ 履行に要する費用が,債権者が履行により得る利益と比べて著しく過大なものであること
ウ その他,当該契約の趣旨に照らして,債務者に債務の履行を請求することが相当でないと認められる事由

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民法の改正(その四百二十一)

ここでは、履行請求権の限界事由が、「一定の事由がある場合には履行請求権を行使することができなくなること」と簡明に定義されていますが、立法化の時には、ぜひこのまま明文化してもらいたいと思います。
改正後の民法で目新しい用語を用いる場合には、必ず適切簡明な定義を明示することを強く希望します。

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民法の改正(その四百二十)

なお、債務不履行一般についての履行請求権の限界については、「部会資料32」で次のように提案されています。

履行請求権の限界

一定の事由がある場合には履行請求権を行使することができなくなること(履行請求権の限界事由)について,明文化するものとしてはどうか。
その際に,具体的な規定の在り方については,以下のような考え方があり得るが,どのように考えるか。

【甲案】 履行が物理的に不可能となった場合のほか,[社会通念/社会観念/取引観念]により履行が不可能であると評価される場合を履行請求権の限界事由とする。

【乙案】 履行が物理的に不可能となった場合のほか,履行をすることが契約の趣旨に照らして債務者に合理的に期待できない場合を履行請求権の限界事由とする。

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民法の改正(その四百十九)

仕事の目的物が契約の趣旨に適合しない場合の規律を設けることについては、筆者も異存はありません。
さらに、修補請求権を明確化し、その例外として限界事由を明記することには、賛成します。
ところで、現行民法には、履行請求権の限界についての規定はありません。

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民法の改正(その四百十八)

この試案の提案に対して、日弁連は賛意を示しています。

【意見】

賛成する。

【理由】

目的物が契約の趣旨に適合しない場合について,売買と同様に規律を設けるのが明確化に資する。修補請求権とその例外(限界事由)を明記すること自体に異論はない。

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民法の改正(その四百十七)

中間試案の対応部分は次のとおりです。

(1) 仕事の目的物が契約の趣旨に適合しない場合の修補請求権の限界(民法第634条第1項関係)
民法第634条第1項の規律を次のように改めるものとする。

仕事の目的物が契約の趣旨に適合しない場合には,注文者は,請負人に対し,相当の期間を定めて,その修補の請求をすることができるものとする。
ただし,修補請求権について履行請求権の限界事由があるときは,この限りでないものとする。

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民法の改正(その四百十六)

要綱仮案

請負2は、次のように提案しています。

2 仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合の請負人の責任
(1) 仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合の修補請求権(民法第634条第1項関係)民法第634条第1項の規律を次のように改めるものとする。
仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないものであるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、目的物の修補を請求することができる。

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民法の改正(その四百十五)

ところで、要綱仮案からは、注文者が、請負人が「仕事を完成するために必要な行為をしなかったとき」という要件が姿を消しています。
つまり、試案の(1)イの部分がすっぽりと削除されています。
これは、「仕事を完成するために必要な行為」という概念の曖昧さに非難が集中したからだと思われます。

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民法の改正(その四百十四)

確かに、そのような悪質業者の出現は想定できます。
しかし、筆者はそのような消費者の被害を防止するのは、あげて特別法の役割だと思料いたします。
些細な欠点を論って、一般法における本筋を見失うことは許されません。
筆者も、解りやすい要件を設定することを条件に、試案に賛意を表します。

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民法の改正(その四百十三)

したがって、東京弁護士会の意見書にあるような、例示的で詳細な要件設定が必要だと考えられます。
もっとも、同意見書の中で、「上記の割合的報酬の請求を認める場合は,悪質な請負業者が消費者に対して無駄な工事を押しつけて契約させ,消費者との間のトラブルにより工事が中途で終わった場合でも割合的報酬を請求する事態が生じかねないとの意見もある。」と付け加えられていますが、これは注目に値する意見です。

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民法の改正(その四百十二)

「仕事を完成するために必要な行為」の意味が分かりにくいという意見には賛成します。
実務界から、取引実務に混乱を与えるおそれがあるのという警告が出されるのも当然のことだと思われます。
新しい概念を持つ要件を採用する場合には、その定義づけを慎重入念に行うことを要望します。
それこそが「わかりやすい民法」への第一歩です。

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民法の改正(その四百十一)

この『請負人が仕事を完成するために必要な行為』という概念の不明確さについては、東京弁護士会も指摘しています。
すなわち、「イは要件を分かりやすくすることを条件に賛成する。」とし、その理由を次のように述べています。
イは,仕事の完成不能が,注文者の必要な行為がなされなかったことによる場合で,かつ,そのことについて注文者に帰責性がない場合にも,請負人の仕事の出来高について精算を認めるもので,趣旨自体は理解できる。
しかし,「仕事を完成するために必要な行為」の意味が分かりにくく,取引実務に混乱を与えるおそれがあるので,要件について分かりやすくすべきである。例えば,「注文者が材料の支給をすべき場合,その他仕事の完成引渡し(引渡しが不要な場合は,完成)について注文者の協力が必要な場合であって,契約の趣旨に照らし,注文者の責めに帰することのできない事由により,その協力がされなかったとき」などの要件を定めるのが妥当であると思料する。

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民法の改正(その四百十)

次に(1)のイ「 請負人が仕事を完成することができなくなったことが,請負人が仕事を完成するために必要な行為を注文者がしなかったことによるものであるとき」については、日弁連はそのような規定の必要はないとしています。

理由は、「イは1(3)と重複適用される可能性があり,『請負人が仕事を完成するために必要な行為』の内容も不明確であるため,実務に混乱が生じる。」です。

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民法の改正(その四百九)

前記判例の結論は、学説上も一般的に支持されているそうですから、中間試案が提示する「(1) 請負人が仕事を完成することができなくなった場合であっても、次のいずれかに該当するときは、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用を請求することができるものとする。
ア 既にした仕事の成果が可分であり、かつ、その給付を受けることについて注文者が利益を有するとき」については別段の異議はありません。

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民法の改正(その四百八)

前出した判例も、この点については、「仕事の一部が既に履行された後、請負契約が解除された場合において、既に行われた仕事の成果が可分であり、かつ、注文者が既履行部分の給付を受けることに利益を有するときは、特段の事情がない限り、既履行部分について請負契約を解除することはできないとし、既履行部分についての報酬請求を認めています(最判昭和56年2月17日判時996号61頁、大判昭和7年4月30日民集11巻8号780頁)。

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民法の改正(その四百七)

したがって、「仕事が未完成の間にその完成が不能となった場合でも、仕事の一部が既に履行されており、履行された部分が独立して注文者の利益になる場合には、この既履行部分について報酬請求を認めることが合理的であると考えられる。」とするたたき台の説明にも、異論はありません。
既に履行された部分が独立して注文者の利益になる場合、この既履行部分について報酬請求を認めることの合理性について、疑義をはさむ余地はありません。

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民法の改正(その四百六)

問題の所在(1)に記載されている、「常に請負人が全く報酬を請求することができないというのは不合理であり、仕事の進捗状況や、仕事が完成しなかった事情によっては、報酬の全部又は一部の請求を認めるべきであると考えられる。」旨の民法第632条の原則に対する、例外規定の設置に関する提案理由について、反対する理由は在りません。
いかなる理由が存在しても、常に請負人が全く報酬を請求することができないというのは、公平性の原則に抵触しています。

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民法の改正(その四百五)

判例の結論は妥当なものとして一般的に支持されているものの、民法が第534条以下で規定する危険負担は双務的な関係に立つ債権のうちの一方を履行することができなくなった場合に他方が消滅するかどうかという問題を扱うものと解されており、請負契約においては仕事が完成しない限り請負人の報酬請求権は発生していないと解すべきであるから、仕事を完成することができなくなった場合の報酬請求権の可否について危険負担に関する規律である同項を適用するのは適当ではないと考えられる。同項の「反対給付を失わない」という文言からも、既に発生した反対給付請求権の帰趨について規定していると解され、発生していない報酬請求権を発生させる根拠になり得るかについては疑問があるとの指摘もある。
そこで、注文者の帰責事由により仕事を完成することができなくなった場合については、民法第536条第2項の実質を維持しつつ、同項とは別に、報酬及び費用の請求権の発生根拠となる規定を新たに設ける必要があると考えられる。

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民法の改正(その四百四)

(3) また、契約の趣旨に照らして注文者の責めに帰すべき事由によって仕事を完成することができなくなった場合については、伝統的な考え方によれば、危険負担に関する民法第536条第2項が適用され、請負人は報酬を請求することができると理解されている。
判例も、注文者の責めに帰すべき事由によって仕事の完成ができなくなった場合には、請負人は、自己の仕事完成義務を免れるが、同項によって報酬を請求することができ、この場合に請求することができる報酬は約定の請負代金全額であるとしている(最判昭和52年2月22日民集31巻1号79頁)。

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民法の改正(その四百三)

そして、この結論は、学説上も一般的に支持されている。もっとも、前述のとおり、請負においては仕事を完成させるまでは報酬を請求することができないのが原則であり、現行法の下では、仕事が完成しなかった場合における報酬請求権の根拠となり得る規定は存在しない。そこで、上記の判例法理を明文化し、仕事が完成しなかった場合における報酬及び費用の請求権の発生根拠となる規定を新たに設ける必要がある。

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民法の改正(その四百二)

(2) まず、仕事が未完成の間にその完成が不能となった場合でも、仕事の一部が既に履行されており、履行された部分が独立して注文者の利益になる場合には、この既履行部分について報酬請求を認めることが合理的であると考えられる。また、仕事の完成は可能であるものの、履行遅滞による解除(民法第541条)や注文者による解除(同法第641条)がされた場合にも、仕事の完成が不能となった場合と同様に、既履行部分についての報酬請求を認めるべきである。判例は、仕事の一部が既に履行された後、請負契約が解除された場合において、既に行われた仕事の成果が可分であり、かつ、注文者が既履行部分の給付を受けることに利益を有するときは、特段の事情がない限り、既履行部分について請負契約を解除することはできないとし、既履行部分についての報酬請求を認めている(最判昭和56年2月17日判時996号61頁、大判昭和7年4月30日民集11巻8号780頁)。

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民法の改正(その四百一)

ところで、この問題について、民法(債権関係)の改正に関する要綱案のたたき台(6)では、次の記載があります。
1 問題の所在
(1) 請負契約において、仕事が完成しなかった場合に、請負人が注文者に対して報酬や報酬に含まれていない費用を請求することができるか否かについて、現行法は明文の規定を置いていない。
請負は、仕事の結果に対して報酬が支払われる契約であるため、請負人が報酬を請求するには仕事を完成させることが必要であり、請負人が途中まで仕事をしたとしても、仕事を完成させていない以上、報酬を請求することができないのが原則である(民法第632条)。しかし、常に請負人が全く報酬を請求することができないというのは不合理であり、仕事の進捗状況や、仕事が完成しなかった事情によっては、報酬の全部又は一部の請求を認めるべきであると考えられる。

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民法の改正(その三百九十九)

なお、注とは、次のとおりです。

(注)上記(1)イについては,規定を設けないという考え方がある。

1(3)とは、次のとおりです。

(3) 請負人が仕事を完成することができなくなった場合であっても,それが契約の趣旨に照らして注文者の責めに帰すべき事由によるものであるときは,請負人は,反対給付の請求をすることができるものとする。この場合において,請負人は,自己の債務を免れたことにより利益を得たときは,それを注文者に償還しなければならないものとする。

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民法の改正(その三百九十八)

これに対する日弁連の意見は、次のとおりです。

【意見】
アは賛成し,イは(注)に賛成する。

【理由】
アは従来の判例法理に従った内容であり異論はない。もっとも,注文者が正当でない利益を押しつけられないような規定にすべきであるとの指摘もある。

イは1(3)と重複適用される可能性があり,「請負人が仕事を完成するために必要な行為」の内容も不明確であるため,実務に混乱が生じる。

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民法の改正(その三百九十七)

この部分に対応する中間試案の記載は次のとおりです。

第40 請負

1 仕事が完成しなかった場合の報酬請求権・費用償還請求権
(1) 請負人が仕事を完成することができなくなった場合であっても,次のいずれかに該当するときは,請負人は,既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用を請求することができるものとする。
ア 既にした仕事の成果が可分であり,かつ,その給付を受けることについて注文者が利益を有するとき
イ 請負人が仕事を完成することができなくなったことが,請負人が仕事を完成するために必要な行為を注文者がしなかったことによるものであるとき

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民法の改正(その三百九十六)

要綱仮案

第35 請負

1 仕事を完成することができなくなった場合等の報酬請求権
仕事を完成することができなくなった場合等の報酬請求権について、次のような規律を設けるものとする。
注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなった場合又は仕事の完成前に請負が解除された場合において、既にした仕事の結果のうち、可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の限度において、報酬を請求することができる。

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民法の改正(その三百九十五)

これまで、最高裁において、「受任者の利益」について明確に定義したものはありません。下級審の裁判例においても、「受任者の利益」についての定義は、流動的な状態にあります。

したがって、明文化に際しては、単に報酬は含まぬとするだけではなく、定義の一層の明確化が必要だと思われます。

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