司法書士法人・土地家屋調査士法人我孫子総合事務所(横浜)測量・相続・遺言

Nintei-Shiho-Shoshi Lawyers are permitted to represent clients in various summary court proceedings such as civil trial, compromise and conciliation and so on.

遺産の分割 (その三)

第908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

被相続人は、遺言で遺産の分割の方法を指定し、もしくは遺産分割の方法を指定することを第三者に委託しておくことができます。
また、相続開始の時から五年以内のある時期まで遺産の分割を禁止することができます。
分割方法を指定した結果、それに従って分割すると法定相続分と合致しなくなる場合には、相続分をも指定したことになります。
遺産分割の方法を指定することを第三者に委託した場合には、この第三者は、相続分及び906条の基準に従って分割方法を定めなければなりません。
被相続人は、必要があれば5年という期間内で遺産分割の禁止を遺言で定めることが認められています。
例えば、相続人である未成年の子が,成年に達して自分の意思で遺産分割ができるようになるまで、遺産分割を禁止しておくような場合が考えられます。
なお、5年を超える期間を定めても、その超過分は無効となります。

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遺産の分割 (その二)

第907条(遺産の分割の協議又は審判等)
 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2  遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3  前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。


-本条は、遺産分割の方法・手続についての規定です。
遺言による分割方法の指定のない場合には、本条による手続により遺産分割を行います。
相続開始後何時でも、共同相続人は、全員の協議によって、自由に遺産分割ができます。
そして、その結果を分割協議書に作成し、全員が署名押印します。
この協議による分割は相続分に応じて906条の基準に合うようにするのが法律の趣旨ですが、全員の合意の上であれば、どのような遺産分割をしても無効ではありません。
共同相続人間の協議がまとまらない場合や一部の者の行方不明等の理由で協議ができない場合、あるいは協議に応じない者がいる場合には、家庭裁判所に分割の審判を申し立てることになります。
遺産分割を申し立てることができるのは、相続人です。
申立ては、相続人の一人からでもできます。
申立てをするには、共同相続人、利害関係人を示し、遺産目録を提出しなければなりません(家審規104条)。
遺産分割の方法としては、現物分割、換価分割、債務負担による方法、共有による方法等があります。
家庭裁判所は、遺産の全部または一部について分割しないでおく方が適当であると考える特別な事情がある場合には、期間を定めて分割を禁止する審判をすることができます。
遺産の一部の分割を禁止するというのは、具体的に特定の財産の分割を禁止するということです。
分割を禁止した後で、事情が変わった場合には、相続人の申立てによって、いつでもその審判の取消しまたは変更ができます(家審規112条)。


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遺産の分割 (その一)

第906条(遺産の分割の基準)
 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。


遺産は、個々の価値を有する財産として存在します。
したがって、遺産分割に際しては、相続分といった抽象的な割合で処理できるものではありません。
遺産には通常、不動産、動産、債権その他多様のものが含まれており、また一口に土地といっても宅地、山林、農地等によって全く性質が異なります。
その上、また、相続人も年齢、職業、性別、収入等によって生活環境も様々です。
そのため、遺産分割においては、これら多様な事情を考慮して分割することが必要になります。
また、各相続人にとっても有用な財産は個々の事情によって異なってきます。
このような分割基準について、さまざまな遺産をあらゆる事情の違う相続人間で分割する場合に適合するように、一般的抽象的に定めたのが本条です。


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相続分(その七)


第905条(相続分の取戻権)
 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
2  前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

共同相続人は、遺産分割前は、債務も含めた遺産全体のうえに各自の相続分に応じた権利を有しています。
この権利も財産的価値を有するものですから、他人に譲渡することができます。
しかし、他人が相続人に代わって遺産の管理や分割に加わることは、他の相続人にとって決して好ましいことではありません。
そこで、民法は他の相続人に、相続分を譲り受けた第三者から、それを買い戻す権利を与えました。
買い戻すためには、相続分の評価額と譲り受けた者が支出した費用を提供して、買い戻しの意思表示をすれば足ります。
相手方の承諾は不要です。
この買い戻しの権利は、相続分が第三者に譲渡されたときから、1か月以内に行われなければなりません。


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相続分(その六)

(寄与分)第904条の2
 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3  寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4  第2項の請求は、第907条第2項の規定による請求があった場合又は第910条に規定する場合にすることができる。

 
本条では、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与・貢献をした相続人がいる場合には、共同相続人間の公平を図るために、その者の法定相続分または遺言による指定相続分に、その者の寄与に相当する価額を加えた財産の取得をその者に認めています。
たとえば、父の営む事業を子の一人が手伝っていた場合、その子がその労働に見合うだけの
賃金を貰っていないようなときは、実質的には父の財産にはその子の労働の成果が含まれており、これも他の子に分けるとすれば、共同相続人間の公平を害することになるからです。
本来の相続分を超えて加算される部分のことを寄与分といい、このように特別の寄与や・貢献のあった相続人のことを寄与者と呼んでいます。
寄与分を主張できるのは、相続人に限られます。
したがって、相続放棄者、相続欠格者、被廃除者は寄与分を主張できません。
代襲相続人は、自分の寄与分とともに、被代襲相続者の寄与分も請求できます。
被相続人の財産の維持・増加のために、特別の寄与があったと認められる場合とは、例えば夫婦間にはもともと協力義務がありますから、通常期待されるような貢献をしても「特別の寄与」とはなりません。
したがって、通常期待される程度を超える貢献があった場合に、はじめて「特別の寄与」と言うことができるのです。
具体的には、共働きの夫婦間で、お互いに婚姻費用を分担しつつ、一方が他方の事業に金銭の出資その他の方法で協力した場合にはじめて「特別の寄与」と言えます。
つまり一般的な義務の範囲を超えるものでなければなりません。
寄与の有無及び額は、まず共同相続人全員の協議で定めます。
共同相続人全員の意思が一致しないとき、または相続人中に行方不明者があるなどして協議ができないときは、寄与者の請求により家庭裁判所が決めることになります。
家庭裁判所に調停を申し立て、調停が成立しない場合は審判に移行します。
寄与者からの申立ては、907条2項の遺産分割の申立てがあった場合、または910条に規定する被相続人の死後に認知されて相続人となった者からの申立てがあった場合にもすることができます。
なお、寄与分の計算方法は、相続開始時の遺産の価額から寄与分の価額を差し引いた残りの価額を法定相続分、または指定相続分で分配し、 寄与者には更に寄与分を加算します。
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